1.洋上風力の電力と真下の海水を原料にした
              
新燃料ナトリウム”の製造
 洋上に浮かぶメガフロート上に風力発電施設とナトリウム電解工場を建造します。この洋上工場の原料は真下の海水で、
これと洋上風力発電で得られた電力でナトリウムを製造します。これを消費地に運搬して、必要な時に必要なだけ電力を得よ
うとする方法です。原理的には、100トンの海水から真水90トン、金属ナトリウム 1トン、塩酸5トン、硫酸0.3トン、金属マグネシ
ウム0.1トンが製造できます。海上は陸上に比べ、障害物が無いので
10以上の風力が得られ、陸上風力発電設備のように、
低周波振動による騒音も問題になりません。
 この洋上ナトリウム工場で製造した金属ナトリウムは、船で電力消費地に運び、必要な時に、必要な分だけ水を加え、水素
を発生させ、水素ステーションで車に提供したり、その水素を燃焼させて火力発電を行います。
 2.ナトリウムの製造価格を下げるために!
 
 ナトリウム製造には大電力が必要です。そのため現在の市価は1500円/kg と高価です。これを採算ベースに合わせるため
には、市価を95.6円以下にしなければなりません。このため、原料立地で電力立地を兼ね備えた洋上を選択したわけです。
さらに、前図(1.)で示したように、ナトリウムを製造する工程で、副産物として真水、塩酸、硫酸、マグネシウム及び消費地の
火力発電所や水素ステーションでは苛性ソーダが得られます。
 これら副産物は従来、大電力を用いて製造していた代物です。従って、これら副産物だけでも採算に合います。
3.世界中何処にでもある食塩地域偏存も枯渇の心配も皆無
 世界の食塩の生産量は年間18千万トンで、岩塩は海水塩の3倍です。一方、化石燃料の可採年数は、石油41年、天然ガス67年、ウラニ
ウム
85年、石炭165年と少ないですが、これに比べ、食塩は無限です。しかも、化石燃料や原子力燃料は地球上の極限られた地域にのみ存在
し、埋蔵量も後僅かです。 
これにひきかえナトリウムは食塩として無尽蔵に存在し、枯渇の心配は全く無く、さらに良いことには、ナトリウムは
水よりも軽く、しかも石油の中に浸しておけば安全に輸送や貯蔵ができます。
 これは、エネルギーの安全保障を脅かす要因の
1つである化石燃料の埋蔵地の偏存を取り除くだけでなく、その場で生産したナトリウムを、
各電力消費地に分散化された火力発電所に分配することで、想定外のテロや事故あるいは地震や津波による社会混乱を最小限に食い止め
ることができます。さらに、火力発電所の水素燃焼タービンからの排出物は水のみで
CO2は皆無です。このため、CO2を一切出さない火力発
電所として、地球の環境保護に貢献します。しかも地域偏存も枯渇の心配も無いため、資源産出国の覇権主義や政情にも影響されず、資源
戦争の無い平和な世界を創ることができるのです。
4.海水中で最も多い金属元素はナトリウムです
 海水は約96%が水であり、残りが3.5%の塩類と、微量な金属から構成されています。この3.5%の塩類中には、海水1kg当たり25.18g の食塩(NaCl)が含まれています。この海水の中で最も多い元素が、酸素(O)、2番が水素(H)、3番が塩素(Cl)、4番がナトリウム(Na)です。これら1番の
酸素と2番の水素は水(H2O)に由来し、3番目の塩素(Cl)と4番目のナトリウム(Na)は食塩(NaCl)です。
この中で最も多い、金属元素が
ナトリウムです。
5.ナトリウムに水を注ぐだけで大量の
                 エネルギー
を生み出します
 ナトリウムに室温で水を注げば、水素を大量に発生します。このナトリウムを消費地に運び、火力発電所や車載用燃料電池に水素を供給す
る水素ステーションで水を注ぎ、水素を発生させる。一般に、ナトリウムは水や湿った空気に触れると爆発的に反応します。 これが “ナトリウム”
は危険だと言われる由来ですが、この“危険”こそが、凄いエネルギー源なのです。
 このように、水に触れさせるだけで、大量のエネルギーを生み出す物質が他に在るでしょうか。しかも、水よりも軽いのです。幸いなことに、
ナトリウムは少量の灯油または軽油の中に浸しておけば、表面が油の皮膜で覆われるため、空気と遮断され、保管・運搬とも安全である。
しかも、放射能も、CO2も出さず、地域依存性も無く、枯渇の心配も無い。
さらに良いことには、廃棄物の苛性ソーダが化学工業の重要な薬品です。それが
只で出来るのですから、これほど素晴らしい燃料源は在りません。

≪海水から造る新燃料≫

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