≪持続可能な水素社会≫

1.水素社会の魅力 
 
@水素の魅力
 従来の化石燃料は、燃焼させるとCO2を排出しますが、水素は廃棄物として水しか出さない文字通りクリーンエネルギーです。しかも、水素は化石燃料の3倍以上の燃焼エネルギーを持っていますので大規模電力発生源として申し分ありません。また、水素と空気との化学反応を利用した燃料電池では小規模分散型電源として自動車を動かすことができます。勿論、放射能も出しませんし、化石燃料のように、産地に偏存することも無く、枯渇の心配もありません。したがいまして、地球温暖化問題や大気汚染も無く、資源戦争も無い平和で人間らしさ世界を取り戻すための夢のような社会を創りだします。この水素社会の立役者水素を如何にして自然エネルギーから経済的に作りだし、かつそれを安全に取り扱うかが、大震災から立ち直ろうとする日本の課題です。

A何故「水素の社会の到来は遠い」といわれるのか
水素が究極のクリーンエネルギーであると言われながら、進展しないのは、水素が2つの難題を抱えているからです。1つが、水素はエネルギーの最終消費段階では大気汚染物質やCO2を排出しませんが、現時点では水素の製造工程で間接的にCO2を出します。さらに、水素の製造、供給、発電に至る全体的なエネルギー利用効率が悪いことです。2つ目が、水素を貯蔵・保管・輸送するに要するエネルギーが化石燃料のそれより高いことです。これを解決することが必要です。 
2.再生可能エネルギーを使った持続可能な社会とは
 日本は、1990 年から2007年の間に国内総生産(GDP)を25.3% 成長させました。同時にCO2の排出量を14% も増加させてしまいました。ところが、世界にはこれとは反対に、CO2の排出量を9%削減し、かつ44%のGDPを達成した驚くべき国があります。その国はスウェーデンです。
 3.スウエーデン国会は 1999年“環境の質に関する
                      16 の政策目標”を決定
 この政策の根本思想は「持続可能な社会を創り、現在の資源の消費量を、地球の再生能力量と同レベルま  たはそれ以下に保ち、次世代に有益な資源を残すことを保障する」というものです。そしてこの16ヶ条の目標 を2020年までに達成するそうです。
 4.長距離輸送と長期保存が 燃料の条件
 水素は常温常圧で貯蔵も輸送もできないが、石炭や石油はそれができる。これまで石油や石炭が燃料として君臨できた理由は、それらの比重が0.8から2.0と軽く、かつ長期貯蔵や長距離輸送ができたからである。しかし、不運にも、石油も石炭も可採年数は限られ、しかも燃焼すると二酸化炭素を排出する。これとは対照的に、水素は可採年数が無限で、二酸化炭素を出さず、クリーンで環境にも優しい燃料である。ところが、水素自身は軽いにも拘らず、水素を貯蔵する容器(ボンベ)や吸蔵合金が重過ぎて運搬には不向きである。
5.常温・常圧で長距離輸送も長期保存もできる
         
“水素の元”=ナトリウム⇒『水素の固体化』  
 水素の貯蔵と輸送の壁を、“水素の元・ナトリウム”で固体化したことが、ブレイクスルーである。洋上風力で得られた電力と真下の海水から調達した食塩から“ナトリウム”を洋上電解工場で製造し、電力消費地の発電所で加水分解して水素を発生させ、水素燃焼発電に供し、副産物の苛性ソーダは、化学工業の原材料として供給する。
6.『水素の固体化』⇒ナトリウムは
                 石炭・石油の代替エネルギー
 
@ 副産物だけでも元は取れる
 主生産物のナトリウム製造には大電力が必要であり経費がかかります。しかし、このナトリウム製造工程で副産物として得られる真水、硫酸、塩酸、マグネシウム、および水素発生と同時に生成する苛性ソーダは、従来大電力を使用して生産していた薬品です。これら副産物が電力を使わずに得られるのですから、副産物だけでも採算に合い、経済性大です。さらに、これら生産工場は、原料立地であり工場内の発電所は風力発電や水流発電あるいは太陽光発電などの自然エネルギーで賄っているため、総合的に経済効果が高い。A エネルギーの安全保障と環境保護に貢献
 ナトリウムの原料である食塩は、世界中の海に均等に、大陸には岩塩や塩湖として広く分布し、地域偏存も枯渇の心配も無い。これは、エネルギー安全保障を脅かす要因の1つである化石燃料の埋蔵地の偏存を取り除くだけでなく、その場生産したナトリウムを各電力消費地に分散化された火力発電所に分配することで、天災事変、テロや事故による被害(影響)あるいは混乱を最小限に食い止めることができる。さらに、火力発電所からの排出物は水のみでCO2は皆無である。このため、CO2を一切出さない火力発電所として、地球の環境保護に貢献する
7.副産物・苛性ソーダが “永遠の燃料” をつくる 
 ナトリウムに水を注ぎ発生させた水素は、火力発電所や水素ステーションで使われます。幸いなことに、この副産物の苛性ソーダは再度熔融塩電気分解すればナトリウムを再生産することができます。この再生産を繰り返すエンドレスシステム(水素/ナトリウム燃料サイクル)は、原子力発電所の使い済み核燃料を再処理して核燃料を再生産する“核燃料サイクル”と同様に、原料の供給の必要は全く無い夢の燃料です。しかし、残念ながら、“核燃料サイクル”は、高レベル放射性廃棄物を出します。
 この“水素/ナトリウム燃料サイクル”は放射能も廃棄物も一切出さないクリーンで環境に優しい燃料サイクルです。熔融塩電気分解に必要な電力は風力や太陽光発電などの自然エネルギーまたは深夜電力が使われます。
 
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