≪電力を制する国は世界を制す≫

 1.電力は国の宝
 
  電力会社は国を動かすために、昼夜なく、電力を送り続ける縁の下の力持である。世界の中で我が国は第3位。1位は、日本の国土の25.5倍を有するアメリカ。2位は、25.4倍の中国。4位は45.2倍のロシアである(2007年)。この図で注目しなければならないのが中国の躍進振りである。昨年12月(2011年)には、アメリカを抜いて1位に躍り出た。それに比べて、日本の伸びは近年鈍化している。
 我が国とは対照的に、広い国土を有し、発電のためのエネルギー資源生産量が極端に高い、これら列強国の中にあって、発電用燃料を全て輸入に依存している“日本”のような国が在るだろうか? 
 2.電力を造る燃料は何か⇒各国のお家事情
 我が国は世界第3位。電力生産量は約1兆2億kWhである(2007年)。その発電種別内訳は、火力70%、原子力22%、
水力7%、風力0.7%である。1位のアメリカは、我が国の3.64倍の4兆3億kWhを発電し、火力73%、原子力19.2%、水力6.3%、風力0.8%と日本の比率に近い。3位は中国で、日本の2.74倍の3兆3億kWhを発電し、火力83%、原子力1.9%、水力14.8%、風力0.27%と火力が主で、原発は少なく、水力が多。世界で最も際立っているがフランスで、発電量の77%を原子力が占めている。
 3.化石燃料を燃料に使い続ける電力消費国⇒
                    CO2 をどうするの?
 世界主要国の1990年と2007年のCO2排出量と増減率を比較すると、CO2排出国の世界1は中国の60億トン、2位がアメリカの57.8億トン、日本は5位の12.4億トンである。中国の排出量は我が国の約5倍である。
 とくに、この図から注目しなければならないことは、1990年を基準にした2007年のCO2増加率が100%を超えている国は、中国の170%、インドが124.7%、韓国が113.1%である。日本は16.1%、アメリカは18.6%である。 一方、減少している国は、ロシアの -27.2%、ドイツの -16%、イギリスの -5.4%である。 我が国は、ドイツやイギリスを手本にしなければならないことは当然であるが、我が国の近隣諸国の、中国やインドあるいは韓国にブレーキをかけることを真剣に考えなくてはならない。
4.エネルギーと食料の自給率が最も低い国・日本⇒
   
“エネルギー源”“食料源”という 不安定な2つの
      借り物エンジンを抱いて大空に羽ばたく日本の翼
 
  日本の国民一人当たりの発電量は、カナダ、アメリカ、オーストラリアについで4位の9,400 kWh/人であり、フランス、ロシアがそれに続く。ところが、これら9カ国の中で、日本だけが、一次エネルギー自給率と穀物生産量が共に最低である。一次エネルギー自給率のトップは、233%のオーストラリア、2位は 183%のロシア、3位は153%のカナダ、4位は 136%のメキシコ、5位は 93%の中国である。 6位は 92%のブラジル、7位は 83%のイギリス、8位は 76%のインド、9位は 71%のアメリカである。ところが、日本はたったの18%の最下位である。
 さらに、国民一人当たりの穀物生産量は、
1.66トンのカナダ、 1.57トンのオーストラリア、1.28トンのアメリカ 、1.12トンのフランス、0.75トンのロシアと続き、どん尻が日本の 0.09トンである。 この極端に低い一次エネルギー自給率を充足するために、エネルギー資源を輸入し、同時に食料を輸入する日本。
周囲の国々のご機嫌を伺い、領空侵犯されても、領海侵犯されても、領土を不法占拠されても、形だけの抗議はすれど、
眼には眼をができない意気地なしの日本。我が国が弱腰に成れば成るほど、付け込まれ、我が国独自の最新技術が新幹線のように、いつの間にか、メイドイン・○○と別の国名にすり返られ、商戦にも負ける現況を、「不安定要素」たる言葉で業を濁す ドスの利かない 日本で在って欲しくない。
 5. 波乱万丈の戦後を生き抜き奇跡の
    復興を成し遂 げた日本⇒
資源の無い国の電力造り
  我が国は海外資源で電力を生産し、その電力で付加価値の高い自動車や半導体を輸出して国を発展させてきた。電力さえあればを合言葉に、国民総所得を上げてきた。まさに、世界一の努力国日本であった。この目覚ましい発展は65年前の太平洋戦争に敗れた時から始まった。
1946
年(敗戦当時)の総発電量 21,900 (百万kWh)、国民所得3,609億円、国民総生産4,740億円であったが、それが線を描いたように着実に伸展し、2008年には、総発電量は47倍の 1,035,532(百万kWh)、国民所得で 1412倍の 5,094,970 億円。国民総生産で1043 倍の4,941,990 億円にまで上り詰めた。
 そして現在、これらの発展の一翼を担った人々が、産業の一線から退き、世代交代が進み、死に物狂いで努力する
と言う風潮は次第に影を潜め、
虎穴に入らずんば虎子を得ずでは無く、君子危うきに近寄らずを選択する風潮に成ってしまった。中東情勢に変化が起きても、ガソリン価格が上がっても、エジプトやリビアで政府転覆の暴動が起きようが、それを対岸の火事であるかのようにテレビで眺め、政治に対しても、将来展望に関しても、自分には関係が無いかのように、何の行動もせず、ただ夢想の境地で天下泰平に酔い痺れてしまっていた我々の目の前に、突如として起こった、東日本大震災と津波。それに追い討ちをかけるように襲ってきた福島第1原発の炉心溶融事故。まさに青天の霹靂であった。
 6. 花形輸出品は何か?
 戦後の奇跡の復興を成し遂げ、メイドイン・ジャパンの安かろう・悪かろうの汚名を返上し、性能は抜群・価格は安いの信用を維持し続けてきた我が国の輸出品の2009年度の総額は約542千億円。その 16.4% が自動車及びその関連製品。6.3% が集積回路を含む半導体製品、5.4%が鉄鋼製品、船舶、精密機械、光学機器と続く。これら
花形輸出品を生み出して来たのが他ならぬ電力である。しかし、これら輸出の花形全てが、近隣諸国に追い抜かれてしまった現況と昨今の電力供給不安定要素が、我が国の貿易収支が他人事ではないことを知らねばならない。
 7.日本の工業生産競争相手国は何処か?
 8. 他が為に電力を造る⇒資源を輸入してまでも
 電力の70% この内、液化天然ガス(LNG)が 52.6%、石炭が 28.7%、石油が 18.7%であり、その殆どが輸入品である2009年の輸入総額は、約515千億円の内、1位が 17%の原油および石油製品、2位が5.5% の液化天然ガス(LNG)、4が 4%の石炭である
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
次のページへ
  株式会社 エム光・エネルギー開発研究所   連絡先 E-mail:  
Tweet

 

.